ハンドロードしたK3弾頭弾の弾道曲線を求める

ハンドロード射撃銃・アクセサリー

前回、LONGSHOT火薬を使ったリロード弾の弾速がうまく測れませんでした。

今回、射撃場を変えて、弾速の計測に再チャレンジです。

試射する弾のリロード

今回試射する弾のレシピは以下のとおりです。

弾頭:  K3弾頭+スペシャルワッズ
薬莢:  WinAA 12GA
雷管:  Federal 209A
火薬:  LONGSHOT 20.0gr,24.5gr,25.0gr,25.5gr,32.0gr

スペシャルワッズとWinAA薬莢の組み合わせだと、32gr詰めてもガスシールで密閉できてきれいにスタークリンプできます。

今回は、各薬量の実包を10発づつ用意しました。

弾速計測の方法

6月26日土曜日、佐久平射撃場にリロード弾を撃ちに行ってきました。

いつものように、銃口につけたレーザーポインタを標的に当てて、レーザーの位置を確認して、弾速計を設置します。

使用する機材は以下のとおりです。

銃: ターハント RSG12
スコープ: リューポルド VX-I
リング: Warne MAXIMA
レスト: SINCLAIR BENCHREST STYLE LIGHTWEIGHT REST
     & PROTEKTOR Cordura BAG

また、今回は各種5発ずつ撃ったあとに、弾速計を的の前に移動させ、後半5発ずつは50m地点の弾速を測りました。

これで、K3弾頭の空気抵抗はどのぐらいなのかがわかります。

試射の結果:グルーピングについて

薬量違いで5発ずつ2回の結果は以下のとおりです。

20.0gr,32.0grは弾倉を測る目的のためだけに、できの悪い弾頭を使ったので、あまりグルーピングの参考にはなりません。(予想通り大きくハズレているのもあるし)

24.5gr~25.5grを比較してみると、25.0grがよくまとまっています。

特に、24.5grが縦方向、25.5grが横方向になっていることから、25.0grの薬量がちょうどよいようです。

試射の結果:弾速について

弾速を計測した結果を以下に示します。

この表では、薬量25.0rの弾は、初速1158fpsで撃ち出したあと、50m地点では960fpsまで減速していることを示しています。

また、音速は1132fpsとして線を引いています。

これから、薬量25.0rの弾は22LR弾と同じように、音速よりわずかに速い初速で飛ばしていることがわかります。

また、「超音速から亜音速に減速する超音速弾(または発射体)がこの音速帯で劇的な空気力学的変化を受け、弾丸の安定性および精度に悪影響を及ぼす可能性がある」(参考 Wikipedia)といわれているので、もし、威力の強い弾をリロードするなら、音速の壁に影響を受けない33gr以上が良いと思います。

以前、26.0gr,27.0grの弾を試射したときには、音速の壁のためか、25.0grが良かった結果が出ています。

計測結果から弾道計算をしてみる

さて、初速と離れた点の弾速がわかれば、空気抵抗が計算できるので、弾道計算することができます。

弾道計算は以下のページを使っています。

その方法の解説です。

Ballistic Coefficients (Velocity)を求める

Ballistic Coefficients(BC値)とは空気抵抗によりどのぐらい速度が落ちるかを表す係数です。

こちらのページで計算します。

この中のDrag Functionとは飛翔体(弾頭)の形状の種類です。ほとんどライフル弾頭の形なので、それに含まれないK3弾頭の場合は、一般的なG1を選択します。

また、弾速計は銃口の3m先、的の1m手前に設置したので、Chronograph Separationを46mとしました。

その結果
25.5gr装弾: 0.062
32.0gr装弾: 0.069
となりました。

ちなみに、過去の記事でエアライフル弾のBC値をChirGunというアプリで求めていますが、こちらはエアライフル専用なので音速以下の弾道計算しかできないようです。

Trajectory(弾道)を求める

以下のページで、弾道計算を行います。

全部英語だから難しいかもしれないけれど、自分が入力した項目だけ解説します。

Ballistic Coefficient: 0.062 これは上記で解説してますね。
Bullet Weight: 32gm 弾頭の重さ。単位はグラムです。
Caliber: 18mm 口径です。このぐらいかなぁ。
Muzzle Velocity: 1158fps 初速です。
Distance to Chronograph: 3m 弾速計を置いた位置。
Sight Height: 4.5cm スコープの高さです。銃口の中心から、スコープレンズの中心までを測りました。

Minimum Range: 0 最低距離。
Maximum Range: 150 最大距離。
Range Increment: 5 距離の間の区切り単位。
Zero Range: 50 ゼロインした距離。
これら距離の単位は、下の「Ranges in Meters」にチェックして、単位をメートルにしてます。

以上を設定して弾道計算した結果です。

ドロップ量と残存エネルギーをグラフ化しました。

この表から、100mのドロップ量は約24cm、150mは85cmとなるようです。

今度、この計算が正しいか検証してみようかな。

コメント

  1. いもけんぴ より:

    いつも拝見し勉強させて頂いています。
    自分の場合、AAにスペシャルワッズの組み合わせですと綺麗に密閉はできますが、ワッズのシール部分のくぼみが深すぎて火薬が圧縮できません。
    圧縮できていないと異常燃焼の危険もあるそうですが、ロングショット25grくらいの隙間なら問題ないのでしょうか。

  2. zeke zeke より:

    コメントありがとうございます。
    ライフル銃と違って、散弾銃のスラッグ弾は、火薬の燃焼速度がもともと速いことと手で押し出せるほど弾頭と銃身の摩擦が少ないことから、異常高圧が発生しても問題は少ないと思っています。
    参考:https://www.fareast-gun.co.jp/column/2013/05/post-77.html(こちらのコラムは与太話も多いので、全て鵜呑みにされないほうが良いと思います)
    それよりも、火薬が圧縮されていない場合、ガスシールを抜け出してクッションワッズに溜まってしまうことがあるので、それに気をつけています。
    参考:https://blog.zeke.jp/2020/07/11/25922/

    • いもけんぴ より:

      ご返信ありがとうございます!
      参考の記事、両方読ませて頂きました。
      異常高圧はそこまで神経質になる必要はなさそうですね。
      火薬が抜ける恐れですが、薬莢がAAのようなすり鉢構造の物以外は気を付けないといけませんね。
      これからもハンドロード記事を楽しみにしています。
      ありがとうございました!